2019.02.16

脱・捕手主体を吉井理人は提唱
「投手は自分の特徴を知り、生かすべき」

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

【連載】チームを変えるコーチの言葉~吉井理人(4)

前回の記事はこちら>>

 コーチと選手の上下関係を取り払い、選手が失敗したときの感情まで振り返らせる吉井理人のコーチング。感情の変化がパフォーマンスの変化につながってミスが起きることを知っていれば、ミスが少なくなる。そのことを吉井は選手に伝えるのではなく、気づかせていく。失敗する理由を自分で探せるようになるのが理想なのだが、選手の発達段階によっては、振り返りも意味をなさないがあるという。吉井にその背景を聞いた。

今シーズンからロッテの投手コーチに就任した吉井理人「ファイターズで二軍のコーチをしている時のことです。ある程度、一軍で活躍している選手が不調になって降りてくる場合、いっちょまえのプライドは持ってるけども、まだまだ精神的に未熟で……という選手がよくいるんですね。そういう選手の場合、振り返らせてもまず気づかない。そういう時には上下関係に近いですけども、先輩として、『プロってこんなもんやで』みたいな話をしたりすることはあります。逆に、一軍で育成しようとしている選手も同じです。気持ちが揺らいでいる時に、人間としてどうしたらいいか、ということも話しますよ」

 吉井は、選手の発達段階を大まかに4つのステージに区別している。

(1)技術・体力ともにまだ不十分で、プロ選手としてやっていく土台づくりの段階

(2)1軍に定着して結果を出せるようになり、プロ選手のプライドが出てくる段階

(3)1軍の主軸選手となり、プライドがさらに高くなった段階

(4)コーチのアプローチは不要になり、寄り添うだけで十分となった段階

 さらに、サポートする内容には次の2つのベクトルがある、としている。

(X)技術や体力を強化する。練習方法を教える。パフォーマンス向上のための指導

(Y)プロ選手に求められる言動や態度など、アスリートとして人間として成熟するための指導

 このように分類した上で、4つの各ステージに合わせて、2つのベクトルの割合を変える。たとえば、(1)であれば、(X)と(Y)を同時に進めていくが、ステージが上がるにつれて(X)を減らし、(Y)を重視していく。「一軍から二軍に降りてくる選手」は(2)に近いから、若干、(X)よりも(Y)の割合が高くなるだろうか。