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パ・リーグMVPは山川穂高か浅村栄斗か。
意義ある1票を投じてほしい (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 対応力を高めて7月に復調すると、シーズン終盤は試合を決める本塁打を量産する。試合を重ねるにつれて引き出しを増やし、手のつけられない打者になった。

「浅村さんにも負けたくないですし、当然、中村(剛也)さん、森(友哉)にも負けたくない。チームとしては勝ちたいですけど、個人としての戦いは数字なので、絶対負けたくない」

 今は無理だが、いずれは打率でも浅村、秋山翔吾に勝ちたいと話す。それも不可能ではないと思うのは、今季の山川はチームでもっとも多く四球を選んでいるからだ。「ボールを遠くに飛ばしたいから」と前さばきで打つなか、低めの変化球には下半身でギュっと止まって見極める。同時に「本塁打→ヒット→四球」と状況に応じて優先順位をつけ、不調の時期はシングルヒットで塁に出た。そうして4番をフルシーズン任され、リーグで最も傑出した数字を残した。

「やるからには(すべて)一番になりたい。その気持ちはありますけど、周りの人がいるから自分も生きていける。リスペクトしています。でも、ライバル心というのはもちろんあります」

 そう語る浅村はリーグ3位の30本塁打、同2位の120打点、同5位の.306。一番の数字はないが、総合力はMVP級だ。

 辻発彦監督からキャプテンに任命されて2年目。決して口数の多くない男は、背中でチームを引っ張った。

「キャプテンという意識はあまりしていないですけど、とにかく自分が必死にやることによって、周りもそういうのを見ていると思う。キャプテンをやっている以上、成績をしっかり残すことはテーマとして持っています」

 3、4月は打率.320・6本塁打と好発進を切ったものの、5月は打率.263と下降する。すると6月上旬から打ち方を微修正した。バットのグリップの位置を下げ、先端をぐるぐる回してタイミングとることをやめて自然に構えるようにしたのだ。そうして始動がスムーズになると、7月は打率.378と打ちまくった。

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