2018.09.30

リーグ3連覇のカープに會澤翼あり。
チームに一体感をもたらした男気

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 9月26日、ヤクルト戦。9回、最後の打者・山田哲人を空振り三振に取った瞬間、広島の會澤翼はウイニングボールをがっちり掴み、天高く右拳を突き上げた。被っていたマスクを放り投げると、3年連続胴上げ投手の中崎翔太のもとに駆け寄り、強く、強く抱きしめた。

選手会長としてチームを牽引し、リーグ3連覇に貢献した會澤翼 大役を務め上げた1年だった。正捕手の座を守り、攻撃面でも得点源となる働き。そして選手会長として、チームをまとめる役割を担った。

「春先に自覚と責任を持ってやりましょうと。ひとりひとりが責任を持ってやってくれたので、僕はあまりやることはなく、みんなが自覚を持ってやってくれた」

 チームメートに感謝した。選手会長の役割は重かった。チームは2連覇中。自身としてもまだ正捕手として確固たる地位を築けていたわけじゃない。それでも、男気あふれる性格ゆえに、首を横には振れなかった。小窪哲也前選手会長の推薦。そして新井貴浩、石原慶幸という選手会長経験のある両ベテランのあと押しを受け、断ることなどできなかった。

 新井は引退会見で広島を「家族」と表現した。會澤も同じように捉えているかもしれない。

 25年ぶりの優勝を果たした201610月、過去最多となる主力18人が参加した湯布院リハビリキャンプ。滞在最後の夕食時に「全員で風呂入ろう」と提案したのは會澤だった。選手だけでなく、同行していたスタッフが肩を寄せながら露天風呂に浸かった。結束が強まった、いい夜だった。

「うちの一番いいところはチーム一丸。いいチームができるように、いい広島東洋カープができるように、取り組んでいきたい。身が引き締まる思いです」

 選手会長として、広島らしさが失われないように、伸ばしていくと心に誓った。

 今季は序盤からコンディションが思うように上がらなかったが、それでも正捕手であり続けた。不安定な投手陣をもり立て、持ち味だった打力でも存在感を示した。広島の捕手としてシーズン最多となる14本塁打を記録。打率も規定未到達ながら3割超を残す。勝負強さを併せ持つ打力は、下位打線にいながら相手球団の脅威となった。