逆転優勝を狙うホークス。好調な千賀と石川を支えるトレーナーの教え (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

今シーズン、自身初の2ケタ勝利をマークした石川柊太今シーズン、自身初の2ケタ勝利をマークした石川柊太 あし体の投手に適した投球フォームとは――あくまで一例だが、次のような体の使い方になる(右投手の場合)。

・左足を上げる際、つま先は地面の方に向けておく

・母子球から着地。かかとで体を回す

・踏み出す左足はインステップしても大丈夫

・腰は横回転となる

・グラブを持つ左手の甲を捕手に向ける

・最初に余計な力を入れず、ゼロから100のイメージ

・左足が地面に着いた時点から下半身に力を込め始める

・右腕は自ら振りにいくのではなく勝手に振れる

・指先は水を切るように、走らせるイメージ

 またストレートの握りは、通常よりも少し左側にずらして、中指がボールの中心にくるように握る。一見シュートのようだが、実際はシュートせずにボールにはタテの回転が生まれる。中指は指の中で一番長く、そのため最大限に指先の力をボールに伝えることができるのだ。これによって、千賀は球界トップレベルの回転数を記録するようになった。

 そして、一方の石川である。

 2013年、育成ドラフト1位で入団し、3年間は一軍実績ゼロ。同じ背番号3ケタの境遇からスターダムへ上り詰めた千賀よりも1歳年上だが、当然のように目標とする存在だった。

 千賀とは常日頃からフォームについて意見交換していたという。千賀が振り返る。

「鴻江先生の自主トレ合宿はただ練習をするのではなく、自分でしっかり考えながらやる場所。とても頭を使うし、普段からフォームのことを真剣に考えている人じゃないと無理。石川さんならば、大丈夫だと思った」

 それで2016年1月の合宿に、石川を誘ったのだ。

「石川くん、君は逆のことをやっているよ。このままだと体を壊してしまう」

 合宿初日、石川は鴻江氏からいきなり"ダメ出し"を食らってしまう。鴻江氏が説明する。

「彼は千賀投手を目標にしていたので、投球フォームも参考にしていたようです。しかし、それが伸び悩みの原因でした。石川投手は"うで体"タイプ。逆のことをすれば、せっかくの能力を発揮できないだけでなく、ケガにもつながってしまうおそれがあるのです」

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