2018.09.16

「ムチを入れる」は逆効果。
シーズン終盤の順位争いに見る監督の資質

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

名コーチ・伊勢孝夫の「ベンチ越しの野球学」連載●第27回

 シーズンも終盤に入り、セ・リーグは広島の優勝へのカウントダウンが始まっているが、残り5球団によるCS争いは激化。一方のパ・リーグも独走していた西武にソフトバンクが猛追。優勝の行方はまったくわからなくなってきた。残り30試合を切り、どのチームも緊張が増すこの時期。はたして、どのような戦いをすればいいのだろうか。近鉄、ヤクルトなどでコーチとして、これまで何度も優勝争いを経験した伊勢孝夫氏に「シーズン最終盤」の戦い方について聞いた。

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何とか3位を死守したい巨人・高橋由伸監督だが...... 長いシーズンも終盤に差しかかり、残り20試合ほどになった。競馬にたとえるのもなんだが、第4コーナーを回り、直線に入った頃だろうか。ファンとしても毎日の結果が気になって仕方ないだろう。

 こんな時、選手やコーチ、監督はどんなことを考えているのか――。実は案外、冷静だったりするものだ。もちろん、CSなどプレーオフを何度も経験しているチームと、そうでないチームとではムードは違うが、経験豊富なチームの選手たちはこの時期の戦い方を知っている。

 僅差で競った終盤の戦い方で最も大事なことは、下位のチームに絶対負けないこと。その一方で、上位チームとの直接対決はよくて2勝1敗、悪くても1勝2敗でいい。要は、3連敗さえしなければいいのだ。

 たとえば、追う側のチームが直接対決で3連敗してしまうと、ゲーム差は3つ広がり、残り試合数を考えると、逆転するのは相当厳しくなる。だが1勝2敗だとゲーム差は1つ広がるだけで、まだ挽回は可能だ。

 では、絶対にやってはいけない連敗を避ける秘訣はあるのだろうか。その答えは実にシンプルだ。それは「普通に戦う」ことだ。言い換えれば、「特別なことはしない」ということだ。「終盤にムチを入れる」という表現があるが、逆効果になることが結構多い。