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戦力外となったもう1人の
春夏連覇エース、背番号143からの再出発 (2ページ目)

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 そこに島袋の代名詞ともいえる"トルネード"も加えた。昨年まではセットポジションからクイックに近いモーションで投げていたが、高校時代に全国の頂点を極めた"ひねり"を再び入れたことで、投球モーション全体に"間(ま)"ができたと言う。

「キャッチャーの人からも『ボールの回転が戻ってきている』『ボールが強くなった』ということを言ってもらえるので、取り組んできたことに間違いはなかったと確信できるようになりました。早く打者を相手に投げてみたいですし、そこでの反応を見るのが楽しみですね」

 同じ沖縄出身の佐久本昌広二軍投手コーチにフォームのチェックを依頼し、OKをもらったことも大きな自信となった。佐久本コーチは言う。

「本人が言うように、いいコンディションで(キャンプに)入ってきてくれました。こちらとしては、もっと伸ばしてあげるだけ。『もっといけるよ、もっとやれるはずだよ』というこちらのハッパにもしっかり応えてくれている状態です」

「何かを一新したい」という思いの強さが、オフの過ごし方も変えた。この冬、島袋はシーズン中から定期的に体をチェックしてもらっているトレーナーとともに初めてオーストラリアで自主トレを行なった。

 その効果は「正直、ここ数年は自分でも見失っていた部分があるので、漠然としかとらえていなかった」という投球フォームのメカニズムを理解したことにも表れている。今では「『こういう投げ方をしているから、こういうボールがいく』ということを、すべて自分で説明できるようになった」のだという。

「昨年の11月にこの背番号をもらったときから、今シーズンの前半が勝負どころになると設定しました。そこに向けての第一歩を、いい形で踏み出せたのかなと思っています」

 甲子園で誰よりも輝いていたあの姿をもう一度......崖っぷちから復活を期す伝説の男は、ここにもいる。

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