戦力外となったもう1人の
春夏連覇エース、背番号143からの再出発
中日に入団した松坂大輔が春季キャンプで順調にスタートを切ったというニュースが連日飛び交う一方で、松坂と同じく甲子園春夏連覇を達成した大エースが3ケタの番号を背負い、再び輝きを取り戻そうと奮闘している。
福岡ソフトバンクの島袋洋奨(しまぶくろ・ようすけ)――沖縄・興南高校のエースとして、2010年の甲子園で史上6校目となる春夏連覇を達成したトルネード左腕だ。高校卒業後、中央大へと進んだ島袋は、東都大学リーグで48年ぶりとなる新人での春季リーグの開幕投手を務め、新人賞を獲得するなど活躍を続けたが、その後は苦しんだ。
昨年オフに戦力外通告を受け、育成選手として再契約したソフトバンクの島袋洋奨 大学2年以降は左ヒジの故障に苦しみ、主将を務めた4年生のシーズンでは中継ぎに回った。大学通算12勝20敗という成績は、本人にとっても物足りない結果だったに違いない。
2014年にドラフト5位でソフトバンクに入団したものの、昨年まで一軍での登板はわずか2試合のみ。昨年オフに戦力外通告を受け、その後、育成選手として再契約。背番号は「39」から「143」へと変わった。
そんな島袋だが、このキャンプでは「よかった頃の感覚が戻りつつある」と充実感を漂わせている。
昨年11月、育成契約へと切り替えられたときから、島袋は高校時代、大学時代、そして昨年の投球フォームを徹底して見比べ、気がついたことをメモに残した。
特に目立った違いは、リリースポイントと右半身の使い方にあった。プロ入り後のフォームは右肩の開きが大きすぎるために、いち早く打者と正対してしまっていたと島袋は分析する。
「フォーム改良のために意識したのは縦運動です。特にグラブの使い方は注意しました。昨年まではテイクバックから腕を振りにいくときに、グラブが背中の方に引っ張られるような動きをしていたのですが、グラブを高い位置から真下へ引き込み、入れ替えるようにして腕を前に振っていく。高校のときに近い投げ方を試してみたんです」
1 / 2