「プロ野球の三軍とは何なのか?」球界で一番詳しい大道コーチに聞く (4ページ目)

  • 寺崎江月/文・写真 撮影協力/おかず家 由ん(福岡)


──まさに"一芸"ですね。それからの甲斐選手の頑張りとは?

大道 彼は走攻守において常にメモを取っていました。何も知らない自分だからこその向上心だったのでしょう。こちらから強制はしていません。それと甲斐には幸運もありました。コリジョンルールが彼の味方をしたのです。ルール適用前には、肩は最高でも、あの身体では体当たりのプレーは厳しいだろう、との声もあったのです。

──三軍は社会人、大学、独立リーグとの他流試合もしますが、プロ注目の選手が在籍するチームと知りつつ対戦したりするのですか?

大道 よく見ていますね(笑)。その通りです。球団はそのことを意識して対戦を組むこともあります。巨人時代で特に印象に残っているのは、則本昂大(三重中京大→楽天)、田中広輔(JR東日本→広島)、小川泰弘(創価大→ヤクルト)の在籍チームと対戦したとき。いずれもプロで通用すると上層部に報告しました。
 
 昨年だと、オリックスが1位指名した田嶋大樹です。北海道遠征のリーグ戦で対戦しましたが、ずば抜けていましたね。打者では亜細亜大学から巨人が獲得した北村拓己もドラフトにかかる逸材と見ていました。やはり、実際に体感した印象を、そのまま上に報告できるのはチーム編成において大きいですね。

──三軍の練習日における一般的なスケジュールを教えてください。

大道 僕は博多方面から電車に乗って7時半に球場入りします、コーチ陣と天候や選手の調子などをミーティングして、その日の練習メニューを決めます。メニューをこなして、終わりはウエートトレーニングをして、だいたい16時までですね。

 ちなみに試合は、例えば四国遠征の場合、二軍は電車移動で現地宿泊なのですが、三軍はバス移動での日帰りです。

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