「プロ野球の三軍とは何なのか?」球界で一番詳しい大道コーチに聞く (2ページ目)
──それで、ヤンキースへのコーチ留学を決意したのですね。
大道 正直なところ、"えっ? 自費なのか"と思いましたけどね(笑)。でも今思えば、清武さんは僕を試していたのかなとも思います。"コイツ本当にやる気があるのか?"と。僕は自分への投資と考えつつ、そうは言っても途中から巨人が給料くれるんじゃないかなと思っていたんですけど......最後までくれなかったです。そこは安易でしたね(笑)。
──コーチ留学での経験を聞かせてください。
大道 1Aに所属しました。その中でもハイAとローAの2クラスに分かれていて、僕はハイAを担当していました。さらに下にはルーキーリーグがあって、16〜18歳の選手がいるんですが、その中から目ぼしい選手がどんどん1Aに上がってくるんです。選手が昇格する流れがわかって、メジャーにおけるピラミッドを底辺から学びました。
──指導ポイントでの日米の違いは?
大道 ヤンキースのコーチからは、「まずは選手の言うことを聞きなさい」と言われましたね。こちらから教えることは極力避けて、とにかく選手から言ってくるのを待ちなさいと。じっくり見てあげるというのがアメリカの方針なんです。それは今でも役立っています。
たとえば日本では、プロアマ問わず頭ごなしに言う指導者がいたりしますが、アメリカではご法度(はっと)です。指導の原点は選手をじっくり観察して、コミュニケーションを取ること。それによって、困ったら必ず向こうから相談にくるのです。大発見でした。
──コーチ留学後、巨人に報告はしたのですか?
大道 もちろんです。報告に行ったその席上で、GMから「来年から巨人の育成コーチになってくれ」とオファーがありました。
──快諾されたのでしょうか?
大道 はい。とてもうれしかったですね。だって次の職場が見つかったんですよ。しみじみ留学してよかったと思いました。
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