ヤクルト2年目のドラ1、寺島成輝が目指す「特徴のない投手」とは?

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 昨シーズン、寺島成輝(ヤクルト)のピッチングを3度見ることができた。最初は9月30日の一軍デビューとなった中日戦。結果は3回、5安打、1本塁打、5失点で、この日の最速は143キロだった。投球内容については、伊藤智仁コーチ(当時)のコメントがすべてを物語っていた。

「ストレートが球速以上に見えることはあったが、まだまだ(プロの)レベルに達していない。ストレートのスピード、制球力、変化球......。ファームで通用しても、一軍では控え選手を相手にしても厳しいんじゃないかな」

2年目の今季、ヤクルト・寺島成輝はプロ初勝利を挙げることができるのか2年目の今季、ヤクルト・寺島成輝はプロ初勝利を挙げることができるのか

 昨年、寺島は春季キャンプで左内転筋を負傷。シーズンが開幕すると左ヒジの違和感もあり、二軍で6試合の登板にとどまった。それでも19イニングを投げて防御率2.37という数字を残し、シーズン終盤に一軍でプロ初登板を果たしたが、結果はほろ苦いものとなった。

 デビュー戦のあと、寺島は自身のピッチングについて静かに振り返った。

「調子は良くもなく、悪くもなく......緊張とかは特にありませんでした。わからないことばかりだったので、今日は投げてみて、そこの部分を感じられたらいいなと。(一軍の)バッターがこういう感じだというのはわかりました。次につながると思います」

 試合では早々とノックアウトとなったが、真中満監督(当時)が「ストライクはスイスイとれる感じがありますよね。それに度胸があって物怖じもしない」とコメントしたように、寺島の醸(かも)し出す雰囲気は、今季への期待を十分に感じさせるものだった。

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