春はボロボロだった韓国。レジェンド宣銅烈は稲葉ジャパンに勝てるか (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Kyodo News

 その象徴と言えるのが"継投"だ。自身、先発完投型(全盛期は先発完封型)から、晩年は抑えとしての実績も長い。そのため継投には絶対の自信を持っている。先発投手のコンディションとブルペンでの球筋で、その試合での投球をイメージする。そこに相手打線を重ね合わせ、ときには球審のクセや特徴も加味し、何イニングまで投げさせ、その後の継投をどういった顔ぶれでつないでいくかを試合前の段階でシミュレーションするのだ。

 実際、冒頭に記した記者会見でも「(采配は)試合が始まってからの感覚で決めていく」と口にしていた。

 国内リーグの監督を離れてから3年が経ち、選手も子どものような若い世代。感覚を重んじるとはいえ、下支えとなる情報は少ない。大会前に韓国で練習試合を3試合してから来日するが、そこでどれだけ新しい情報を仕込めるのか。

 そんな宣銅烈の一助となるのがコーチ陣だ。侍ジャパンでは、稲葉監督の日本ハム時代の同僚がコーチに多く、一部で「お友だち内閣」と言われているが、宣銅烈も親しい人材を集めた。かつて中日でも活躍した李鍾範(イ・ジョンボム)は、コーチ経験はないが宣銅烈の強い希望で入閣した。

 ただそれ以外のコーチたちは、なかなかのプロフィールを持っている。投手コーチは現役時代の先輩格である李強喆(イ・ガンチョル)を招いた。こちらは李鍾範と異なり、2008年から3球団にわたって投手コーチを歴任。今季も斗山(トゥサン)ベアーズで二軍投手コーチを務めてきた。若い投手陣は教え子同然に掌握しているだろう。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る