カープ退団の石井琢朗コーチが明かす、
東出&迎コーチとの役割分担 (2ページ目)
あえて技術的なことを言うのは、一軍での出場が少ない若い選手。たとえば、鈴木誠也は高校出5年目の23歳と若いが、すでにレギュラーゆえに細かくは言わない。
加えて、そうした方針は、広島独自のコーチングスタッフによるところも大きかった。石井のほかに東出輝裕、迎祐一郎と3名の打撃コーチを一軍に置く球団は珍しく、2017年のプロ野球では唯一。細かな技術指導のみならず、選手のストレスの捌け口については、東出と迎の担当だという。47歳の石井に対して東出37歳、迎36歳と、年齢的に選手に近いこともある。
ただ、石井自身、守備走塁担当からの配置転換。現役時代の晩年に兼任二軍野手コーチ補佐だった東出にしても、一軍専任は初めてだ。迎は一軍打撃コーチだった新井宏昌(2015年限りで退団)の補佐役ではあったが、やはり一軍コーチの経験はなかった。それだけに、3人体制当初は役割分担が明確ではなく、指導法に試行錯誤もあり、全員が仕事に慣れるまでには時間がかかった。
「去年は3人でなんやかんや、どうしようかっていうことがよくありました。それが今年は2人とも、僕が言いたいこと、チームの攻撃としてやろうとしていることをある程度、把握しています。言う前に全部、終わっている感じなんですね。逆に僕は今年、なにもやってなかったです(笑)」
そんな冗談も飛び出すほどに、2年目の3人体制はうまく回転してきたのだろう。なにか、チーム内に"打撃コーチ部"という名称の部署があって、そのなかで上司の石井が、若い2人の部下と一緒に仕事に取り組んでいるようなイメージも湧く。
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