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カープ退団の石井琢朗コーチが明かす、
東出&迎コーチとの役割分担 (4ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 その点、石井が「チームの攻撃としてどう点を取るか」を選手全体に伝えるには、ティーチングが適していたと言える。実際、伝えられた後に「学生のときの授業みたいな感じだった」と振り返る選手もいたそうだ。

 しかし石井本人としては、コーチに就任した当時から「なるべく選手目線で、一緒にものを考えることができれば」というスタンス。つまり「ティーチングよりもコーチング」だと思っていたからこそ、「ティーチングになってしまっていた」というネガティブな表現が出たのだろう。

 それでも、すぐに打ち消して、うまく使い分けできればいいと考えられるあたり、指導者としての幅が感じられる。そしてこの幅は、対話が不可欠のコーチングを東出と迎に任せて生まれた部分もあったようだ。まさに「ストレスの捌け口」は対話の始まりなのだから。

 こうした3人体制の効果に手応えを得ている石井自身、視野の広がりを感じているという。

「今の僕がいろいろと考えられるようになって、引き出しが増えたのも、横浜を出て広島に来て4年間、現役でやったからだと思います。あれが勉強の場だったのかなと。もちろん、20年間、育ててもらった横浜に対して愛着はありますし、在籍時はこのチームをどうにかしたいという気持ちもありました。でも、ずっと横浜にいてコーチになっていたら、自分自身のプライドが強すぎて『自分がこうやってきたんだから』って押しつけて、選手をにはめるというか、それ以上の指導はできなかったのかなと。そういう意味では、僕のなかでは、横浜を出たことで成長できた、と思っています」

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