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カープ退団の石井琢朗コーチが明かす、
東出&迎コーチとの役割分担 (3ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

「上司っていうか、本当に僕がやることないぐらい、2人がよくやってくれました。だから、やっぱり一歩引いて、2人の仕事を全体的に見ていた感じ。それと、技術的なことに関して、去年、優勝できて今年につながったのは、一昨年まで指導していたコーチの人たちのおかげと思っています。そこに僕らがプラスしたのが『チームの攻撃としてどう点を取るか』なので。そういう意味では、僕の指導はコーチングじゃなくて、ティーチングになってしまっていたんでしょうね。でも、そこはそこで、うまく使い分けられればいいかなと思っています」

 コーチングとティーチング。どちらも人材育成法という点では同じだが、違うのは、指導する人と指導される人との関係性だ。石井が言うように、コーチによる指導がすべてコーチングになるとは限らない。

 コーチには"競技・演技等の指導員"のみならず、"馬車""客車"という意味がある。すなわち、人や物を目的地まで運んでいく。スポーツ競技に置き換えれば、選手が立てた目標まで一緒に導いていくこと。これを原点とするコーチングは、指導する人が相手に問いかけて聞くことが出発点となる。目標達成に向け、対話を通して相手が自ら考え、気づき、答えを導き出せるように促(うなが)す。

 一方のティーチングは、学校教育で先生が生徒に教えるのと同じ。指導する人が持っている技術、知識、経験などを相手に伝えることで、基本的に対話は必要とされず、また成立しにくい。

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