どん底ヤクルトにも希望はある。ツバメの卵がようやく孵化し始めた (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

「若さという言葉でくくれば、たしかにがむしゃらさは必要です。ただ、チームとしては起用するからには結果を求めます。自分のスイングを一生懸命すれば凡打でもいいということはありません。思い切りだけで結果を出し続けられるほど、プロ野球の世界は甘くありません。若い選手は『結果を出さなければ』と、自分のやってきたことだけに全力になりがちです。それでは一軍レベルのピッチャーに簡単にやられてしまいます。自分のことを知り、相手のことも知ることが大事です。試合前の準備、試合中での予測や状況判断力を身につけた上で思い切ったプレーをする。練習にしても、汗を流して、一生懸命やりましたではなく、どんな目的をもって取り組んだのかを説明できるようになってほしい。そこが大事だと思います」

 奥村も山崎も、一発回答で今の活躍があるわけではない。奥村は昨シーズン、一軍で4試合に出場するも6打数0安打。今シーズンは6月23日に初昇格するも、出場機会なく1週間も経たないうちに二軍降格。そして2度目の昇格でプロ初ヒット、初打点を記録し、今に至っている。奥村は言う。

「去年は一軍の雰囲気に呑まれてしまいました。ガチガチになってしまい、自分のプレーがまったくできませんでした。代打から始まったのですが、『この1打席しかない』という気持ちが強すぎた。今はまず、自分の持っている力を素直に出す。それ以上のことを考えないように意識しています。同じ失敗を繰り返したくないですから」

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