与田剛コーチが語る、
則本昂大と野茂英雄。
その奪三振のメカニズム (2ページ目)
さて今回、則本が2ケタ奪三振の記録をつくるたびに新聞紙上などで登場したのが野茂英雄氏だ。"現役選手"が"往年の名選手"の記録を掘り起こす――これは野球というスポーツの素晴らしさのひとつだと思う。
ここで野茂氏が「日本球界」に残した三振にまつわる記録をいくつか紹介したい。
2ケタ奪三振/70回(パ・リーグ記録)
シーズン2ケタ奪三振/21回(歴代1位・1990年)
4年連続奪三振王(歴代3位・1990~1993年)
シーズン奪三振率/10.99%(パ・リーグ記録・1990年)
与田コーチは、野茂氏と同期入団(ともに89年ドラフトで1位指名)で、アマチュア時代には全日本のメンバーとして世界を相手に戦った仲間でもある。
「僕にとって野茂は常に憧れの男なんですが、今回、則本が記録を更新するたびに『(野茂は)こんな記録も残してたんだ』と新たに知ることができました。わずか5シーズンで2ケタ奪三振が70試合もあったとか(笑)。野茂は年下で、プライベートでは気軽に電話したりすることもあるのですが、やっぱりとんでもない投手だったんだなと再認識させられました。その野茂の記録に、コーチという立場ですが、則本の横にいて挑むことができた。感慨深いものがありますよね」
球史に残る"ドクターK"のふたりを知る与田コーチに、則本と野茂に共通点があるのか聞いてみた。
「野茂は体のサイズが大きいですが、則本は野球界では大柄とはいえません。リリースも野茂はかなり上から投げてきますが、則本はスリークォーターなど、いろいろと違いはありますが、共通している点を挙げるとすれば、真っすぐの威力です。スピードガン表示もともに150キロを超す真っすぐを投げますが、それよりもふたりとも打者が"怖さ"を感じる真っすぐを投げますよね。打者は『速いボールに詰まりたくない』という心理が働くので、そこを意識してしまうとボール球に手を出したり、コースの見極めができなくなったりします。ふたりにはそういった強みがあると思います」
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