2017.06.02

長田、加藤康、カラバイヨ…。
独立リーグ「選手兼コーチ」たちの想い

  • 阿佐智●文・写真 text&photo by Asa Satoshi

「いや、もうないですけどね」

 長田秀一郎は、自身のプロ野球(NPB)復帰についてあっさりとこう答えた。彼は大学野球の名門・慶応大から2002年秋、ドラフト自由枠で西武に入団した、いわばエリートだった。そんな彼が今、田舎の球場のブルペンとも言えないような場所で、若い選手相手にキャッチボールをしている。

ブルペンで若手相手にキャッチボールをする兼任コーチの長田秀一郎 昨シーズン限りで横浜DeNAを戦力外となった長田は、今、ルートインBCリーグ(独立リーグ)の新潟アルビレックスBCで現役を続けている。現役とは言っても、ここまで(5月30日現在、以下同)登板したのはわずか5回1/3しかない。

 現在、長田のメインの仕事はコーチ業である。37歳という年齢を考えると、もう指導者一本でもよさそうなものだが、長田は独立リーグで現役続行の道を選んだ。その理由について尋ねると、シンプルにこう答えた。

「まだ、体が動きますから」

 今シーズン、BCリーグに在籍する選手兼任の指導者は10人。そのうち6人がNPBでのプレー経験がある。

 その代表格は、元メジャーリーガーの岩村明憲だろう。岩村は、福島ホープスの創設とともに選手兼任監督として入団し、過去2シーズンで出場はわずか13試合と少ないが、それでも打率.455と格の違いを見せつけている。しかし岩村は、監督業と選手の兼業に限界を感じ、今シーズン限りで選手としてユニフォームを脱ぐ決意を表明した。

 選手育成に主眼を置いた独立リーグだからこそ、自身が現役を続けることにジレンマを感じていたのだろう。メジャーリーグという頂点にまで上り詰めた男として、若い選手の機会を摘んでまで、自分が試合に出場する意義を、もはや見出せなかったのかもしれない。