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鵜久森、坂口、大松、榎本...
「ヤクルト再生工場」は今もフル稼働中 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 この話を鵜久森にすると、こんな答えが返ってきた。

「チームにそういう人が絶対にいないといけないと思うんです。日替わりヒーローというか。チームが勝ち上がっていくには、そういうときがあるというか、控え選手でもヒーローになれる。それが楽しみでもあるし、自信にもなりますから。僕は今、代打として早い回に出番がくるときもあれば、試合終盤に回ってくることもあります。常に、どこでもいける準備はしています。相手投手のデータ、なにより相手チームが僕をどう見ているのかを頭に入れて打席に向かいます。でも、目指すのはやっぱりレギュラーです。代打にしても、先発にしても"打点"を大事に考えています。打点を挙げることが、僕の生きる道かなと思っています」

―― 代打サヨナラ満塁本塁打を打った試合後の囲み会見では、何度も「クビになった」という言葉が飛び交いました。気になったりしませんでしたか。

「僕自身、『クビになったこと』を忘れちゃダメですし、そこは気にしないですね。今、ここに立てているのは、そういうことがあったからですし......そこはしっかり受け止めて、このめぐり合わせを大切にしたいと思います」

 4月13日、神宮球場。6連敗中のヤクルトは、中日を相手に2対2のまま9回裏の攻撃を迎えていた。二死三塁の場面で、打席には代打・鵜久森。ここで中日は左の岩瀬仁紀から右の佐藤優にスイッチ。一方、ヤクルトは真中満監督が「代打の代打はまったく考えませんでした」と語ったように、鵜久森がそのまま打席に立った。鵜久森が振り返る。

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