マシソンを「本物のプロ」にしたグリフィーJrとイチローの流儀

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 スコット・マシソン(巨人)のブルペンは、本当に印象的である。

 テキパキと、機敏に、そして明確な目的を持って──時間を有効に使い、まったく無駄がない。その一連の作業は、まさにプロフェッショナルだ。

昨年は70試合に登板するなど、巨人のリリーフ陣になくてはならない存在になっているマシソン昨年は70試合に登板するなど、巨人のリリーフ陣になくてはならない存在になっているマシソン たとえば、こんなこともあった。春季キャンプ中、彼がブルペンで投げ込んでいたのはNPBの公式球だった。当然といえば当然のことで、まったく驚くようなことではないが、あえて言えばマシソンはカナダ代表の一員としてWBCに出場することになっていた。

 侍ジャパンに選ばれた日本のピッチャーたちは、キャンプ前からWBCの公式球で練習するなど、準備に余念がなかった。だからこそ、WBC直前になってもNPB公式球で投げ込んでいるマシソンは余計に目立っていた。

「私にとって、日本でのシーズンの方が大切なんです」とマシソンは理由を説明した。

「一番大切なのはジャイアンツであり、WBCではありません。もちろん、WBCも勝ちたいですし、ベストを尽くすつもりです。でも、私の契約書には『ジャイアンツ』と書いてありますから。巨人が勝つために、全力を注ぎたいんです」

 代表チームと合流するときにはWBC公式球で練習すると明かしたが、プロ野球のシーズンに合わせて調整することが最も大事なことだと、マシソンは語った。

「キャンプ中にWBC球に完全に慣れてしまうと、WBCから帰ってきたらまたNPBの公式球に再度、対応しなくちゃいけない。それは逆だと思うんです」

1 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る