WBC「イスラエル代表」秘話。
日本も警戒すべき結束力に歴史あり (2ページ目)
初のユダヤ人メジャーリーガーは19世紀後半に活躍したリップ・パイク。オランダ系ユダヤ人としてブルックリンに生まれた彼は、シンシナティ・レッズなどで10シーズンプレーし、638安打を記録した。
その後もデトロイト・タイガースなどで1628安打、331本塁打をマークしたハンク・グリーンバーグや、ユダヤ教の祭日"ヨムキプル"と重なったからとワールドシリーズ初戦の先発を断ったサンディー・コーファックスなど、在米ユダヤ人コミュニティは幾多の名選手を輩出してきた。
ちなみに、日本でプレー経験のあるアーロン・ポレダ(巨人)やケビン・ユーキリス(楽天)、ジョシュ・ホワイトセル(ヤクルトなど)らも在米ユダヤ人である。
そうした中、実は10年前にイスラエル国内で壮大な実験が行なわれていた。イスラエル野球リーグという2007年の1年間だけ存在したプロ野球は、在米ユダヤ人によって創設され、不毛の砂漠地帯に野球の花を咲かせようという無謀ともいえる取り組みを行なった。
究極の目標をWBC出場に掲げたこのリーグは、結局、2カ月ほどの短いシーズンを終えた後、休止してしまった。だが、このリーグの蒔いた種がようやく芽を出したことは、10年前に草野球場のようなフィールドで汗にまみれた男たちが今大会のメンバーに入っていることでわかる。今回の代表チームの中にイスラエルリーグでプレーした者が、選手に1人、コーチングスタッフに3人登録されているのだ。
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