小久保采配に神は宿るか。
「WBCで日本は意外と強い」説を信じる

  • 永塚和志●文 text by Nagatsuka Kazushi
  • photo by Getty Images

 メジャーリーガーやスター選手がいるからといって勝つとは限らないのが野球の難しさであり、面白さでもある。前評判は低くても、"小久保ジャパン"にだって世界一のチャンスは十分あるはずだ。

 今回のメンバーを眺めて、誰もが認める"チームの顔"という選手はいないが、だからといって力がないわけじゃない。むしろハイレベルな選手がゴロゴロいる。事実、筒香嘉智や山田哲人を筆頭に、坂本勇人、鈴木誠也、菅野智之、則本昂大、千賀滉大などは、メジャースカウトが注目している選手たちだ。

 昨年秋に開催されたメキシコとオランダ相手の強化試合では、大谷への注目度が圧倒的に高かったが、たとえばメキシコ代表チームに帯同していたドジャースの4番、エイドリアン・ゴンザレスは鈴木のバッティング練習をつぶさに観察しつつ、「素晴らしいスイングだ」と感嘆していたほどだ。

 大会直前の実戦ではたしかにチームとしての結果はよくなかったが、通常はシーズン開幕に向けてコンディショニングに勤(いそ)しむべきこの時期に調子が思ったほど上がらないのは他国も同じだ。大会が始まれば何を差し置いても結果が問われることになるが、その前段階ではプロセスが大事になる。

 今回の"小久保ジャパン"を見ても、合宿開始の頃は「プロ選抜チーム」との印象が強かったが、日を追い、試合を重ねるごとに「日本代表チーム」へと様変わりしていったように思う。

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