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WBCオーストラリアの
「就活選手」に気をつけろ (4ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Getty Images

 そしてもうひとり、独立リーグでプレーしていた経験を持つのがライアン・サール。BCリーグの石川ミリオンスターズで先発投手として8勝7敗、防御率1.99を記録し、奪三振王にも輝いた。NPBでプレーすることはかなわなかったが、台湾の強豪ラミゴ・モンキーズとの契約を勝ちとった。残念ながらシーズン終了を待たずにリリースされたが、今度はイタリアに渡り、フォルティテュード・ボローニャで1勝を挙げ、シーズンを締めくくっている。

 WBCには過去2度メンバー入りしているが、登板は前回大会の一度のみ。1次ラウンドの韓国戦に先発して3回4失点で負け投手になった。昨年のWBC予選ではクローザーとして2セーブを挙げ、またここ2シーズンはウインターリーグでも抑え役を任されているので、今大会もリリーフでの登板が有力視されている。

 このようにロースターを見る限り、今回のオーストラリアは日本にとって手強い相手ではない。現役メジャーリーガーはほとんどおらず、半ば引退して、プレーは週末のウインターリーグだけという者もいる。

 しかし、国際大会を自らの売り込みの場と考えている彼らの鼻息は荒い。国際大会ではこうした"就活中"の選手が一番怖い。今回紹介した5人の日本野球経験者のうち、独立リーグ組の3人は"就活中"である。彼らが日本代表との試合ではキーマンになるに違いない。

 また、元来おおらかなオージーたちは、ある意味なんのプレッシャーもなく、この大舞台を楽しみながらプレーする。国民の期待を一身に受け、使命感でガチガチに縛られた日本代表がオーストラリアのペースに巻き込まれれば、アテネの二の舞になりかねない。

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