まず初戦でキューバをコテンパンに。日本のWBC優勝に必須の条件

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Getty Images

 いよいよWBCが開幕する。およそ3年半をかけてチームを作ってきた日本代表が、いかなる戦いを演じるのか。日本が激戦を勝ち抜いていくためになによりも大事なポイントは、1次ラウンドの初戦、キューバとの戦い方に潜んでいる。

 過去の国際大会で日本打線の傾向として見られるのが、「エンジンのかかりの遅さ」だ。

初戦のキューバ戦での先発が有力視されている石川歩初戦のキューバ戦での先発が有力視されている石川歩 国際大会では、当然のことながら、相手国の投手はいつも対戦している国内投手と配球もフォームも違う。とりわけ中南米系の投手など、1球ごとに球の出どころが変わったり、タイミングを変えてきたりする者もいる。キューバの投手陣は、その典型ともいえる。

 対する日本の打者は、なにより自分のスイングを磨くことを第一として育ってきているだけに"なんでもかんでも打ちにいく"ということはしない。自分のスイングを狂わせてしまう危険があるからだ。"好球必打"と理解していても、自分の待っているボールでなければ、よほど甘く入らない限りバットを止める。たしかに、WBCのような球数制限がある大会なら、1球でも多く相手投手に投げさせることも意味があるだろう。

 しかしキューバの投手は、概してポンポン投げ込んでくる者が多い。両サイドを丹念に突くのが日本の野球だが、他国はおおむね、ホームベースの上で勝負してくる。キューバもしかり。そんなギャップが、過去の国際大会では日本の打者を受け身にさせてきた。ヒットが出ても、打線がつながらない。格下といわれるような相手でも、試合の中盤まで0対0や、僅差の展開を強いられてしまう。

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