目配り気配り心配り。引退する黒田の専属捕手・倉義和が語るカープ人生

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • photo by Kyodo News

 25年ぶりの優勝で沸いた広島でひとりの選手が静かにユニフォームを脱いだ。同年に引退した黒田博樹の専任捕手を務めるなど、石原慶幸とともに正捕手争いを繰り広げてきた倉義和── 。広島低迷期を支えてきたいぶし銀のベテラン捕手が、新たな黄金期到来を予感させた今季、引退を決めた。懸命に駆け抜けた19年間の現役生活を振り返ってもらった。

黒田博樹の専属捕手として活躍した倉義和黒田博樹の専属捕手として活躍した倉義和──  19年間の現役生活お疲れ様でした。

「ありがとうとございます。小学1年生から始まった野球人生。プロに憧れ、広島に入団できて19年間ユニフォームを着させていただいた。本当に幸せな野球選手だったなと思います」

──  97年、京都産業大からドラフト5位で広島に入団し、プロ野球人生が始まりました。

「プロに入って一から捕手として勉強していったようなものでした。大学がそこまで強くなかったので、捕手としての技術、心構え、何をやらないといけないのかわかっていなかったように思います」

──  当時はヤクルトの古田敦也氏など打てる捕手が台頭してきた時代でした。

「最初は打つこともアピールにつながると思ってやっていましたけど、やっぱり甘かったですね。打撃にはある程度の自信を持って入ったつもりでしたけど、レベルの違いを感じました。このままでは2、3年でクビになるなと感じたのを覚えています」

──  入団当初は打力が買われて捕手以外のポジションで起用されることもありました。

「捕手は守りがしっかりしていないと試合に出られないポジションなんです。プロでやっていくためには、"打てる捕手"というよりも"勝てる捕手"を求めてやってきました」

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