問題だらけの強化試合。小久保ジャパンはいったい何を「強化」したのか
「この強化試合は、来年3月の本戦を前にした最後の国際大会。勝ちにこだわることはもちろんですが、充実した時間を持ちたい。そして(チームの)結束力を高めたいと思っています」
11月10日から東京ドームで開催された侍ジャパンの強化試合。ジャパンはメキシコ、オランダとそれぞれ2試合、計4試合を戦った。その戦前、小久保裕紀監督は会見で冒頭のような趣旨のコメントを口にした。結果はすでに多くのメディアで報じられているので割愛するが、振り返ってみれば気になることばかりの4試合だった。
WBC使用球の「滑るボール」に対応できず、本来の投球ができなかった千賀滉大 いちばんの気がかりは、戦略(戦い方)のブレだ。チームにとって、監督にとって、この4試合はどのような意味があったのか。WBCの前哨戦として勝ちにこだわった戦いのなかでチームの方向性を確認するのか。それとも、あくまで練習試合と割り切り、いろいろなテストを試みるのか。それがなんとも曖昧で、かつ混在していたように思えてならない。
今回は初めて代表に招集される選手が少なくなかった。先発投手組では、千賀滉大(ソフトバンク)、石川歩(ロッテ)、石田健大(DeNA)、田口麗斗(巨人)など。野手では、捕手の大野奨太(日本ハム)や今季ブレイクした鈴木誠也(広島)もそうだ。そして彼らの多くは、案の定、苦しんだ。
特に初選出の投手たちは、予想以上にWBC使用球の"滑るボール"にまごついた。石川は、小久保監督をして「あの決め球があるからこそ、代表入りしてもらった」と言わしめたシンカーをほとんど落とせなかった。
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