日本ハム移籍「眠れる大砲」大田泰示に、
9年目の大爆発は起きるのか

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 インパクトは大きかった。11月2日に巨人と日本ハムがトレードの成立を発表したが、その顔触れが予想外のものだった。巨人からは大田泰示と公文克彦、日本ハムからは吉川光夫と石川慎吾の移籍が決まった。 

 吉川は2012年にパ・リーグMVPに輝くなど、残してきた経歴は光り輝く。一方の大田はまだ定位置を確保したことがない。実績には格差があるが、大田の秘めた力が日本ハムサイドには魅力的だったのだろう。

 発表翌日の3日、川崎市のジャイアンツ球場での秋季練習で大田は高橋由伸監督ら首脳陣、一、二軍の選手の前であいさつした。

「8年間、一緒にやってきて(移籍する)寂しさはありますけど、ここでやってきたことを無駄にしないように、北海道で自分らしくプレーし、ジャイアンツでやってきたことに誇りを持ってプレーしていきたい」

 神奈川・東海大相模高時代から恵まれた体格、身体能力を生かしたダイナミックな動きで注目を集め、2008年のドラフトで巨人とソフトバンクから1位指名を受ける。高校の大先輩でもある当時の原辰徳監督がくじで引き当て、意中の球団だった巨人入りが決まった。当時、原監督は「引き当てられて興奮している」と喜び、原監督に憧れていた大田も「何か運命的なものを感じる」と笑顔を見せた。

 入団の経緯がドラマチックで、背番号にも球団からの期待の大きさがうかがえた。松井秀喜が背負っていた「55」を託され、スター候補生としての道ができあがり「結果を残さないといけないという責任を感じる」と表情を引き締めた。 

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