阪神・大山の1位指名と、DeNAの下位指名に見るドラフトの妙味 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 おそらく今も同じ心境だろう。強肩と長打力はキャンプの段階から目を引くはず。あとは実戦での対応力が課題になるだろうが、スラッガータイプの育成には時間がかかるもの。首脳陣はもちろん、熱狂的なメディアもファンも、できれば長い目でこの大器のことを見守ってほしい。

 大山以外で「意外な上位指名」を受けた選手といえば、日本ハムの2位指名を受けた石井一成(早稲田大/内野手)が目につく。

 前述したように、今年のドラフトは「投高打低」と言われていた。しかし、遊撃手には中京学院大の吉川尚輝(巨人1位)や日本大の京田陽太(中日2位)、トヨタ自動車の源田壮亮(西武3位)と上位指名候補がひしめいていた。

 そんななか、同じ遊撃手である石井の評価は芳しいものではなかった。大学4年間の通算打率は.288(10月23日現在)とまずまずだが、実戦のなかでもうひとつアピールに欠けた印象だった。しかし、打撃練習中に時折見せる爆発力はまさにプロ仕様。ポテンシャルは前出の3選手よりも高いと見るスカウトもいた。ある球団スカウトなどは、ドラフト前から「日本ハムが石井を高く評価しているようだ」と証言していた。

 近年の日本ハムは、野手は基本的に高校生を指名している。高校生の好素材をファームで実戦経験を積ませながら鍛え、数年後に一軍戦力に育て上げるのだ。過去5年間で日本ハムが高校生以外で指名した野手は、岡大海(明治大)と横尾俊建(慶應大)の2人だけ。今年は石井と専修大のスラッガー・森山恵佑(4位/外野手)の2人を指名しているが、2人とも素材重視で即戦力とはみなしていないだろう。

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