阪神・大山の1位指名と、DeNAの下位指名に見るドラフトの妙味 (4ページ目)
今後、石井がプロで持ち前の高い能力を開花させることができれば、改めて日本ハムの慧眼と育成力がクローズアップされるに違いない。
ドラフト会議は当然のことながら、球団ごとに補強ポイントと優先順位というものがある。その結果、エアポケットのように指名を受けないまま、下位まで残ってしまう選手もいる。
たとえば、2009年のドラフト会議で巨人は「捕手」を補強ポイントに挙げていた。そして、2位で鬼屋敷正人(近大高専)と河野元貴(九州国際大付高)のいずれかを指名すると決めていた。優先順位は鬼屋敷が上で、巨人の指名順までに鬼屋敷が他球団に指名されていれば河野を2位指名する予定だったという。
鬼屋敷は巨人の思惑通り2位で指名。ところが、巨人が指名を見送った河野はドラフト会議の最後まで名前が読み上げられることはなかった。最終的に河野は育成ドラフトで巨人から指名を受けたのだが、本会議で2位指名を受ける可能性のあった選手が育成ドラフトまで流れてしまう。これがドラフト会議の難しさであり、「生き物」と表現されるゆえんでもある。
そして選手によっては、俗に「順位縛り」と呼ばれる制約も存在する。「○位以下なら大学(社会人)に進みます」と、事前にプロ側に通達するわけだ。今年のドラフト候補では、生田目翼(流通経済大/投手)や高橋拓巳(桐蔭横浜大/投手)といった有力投手がこの理由で指名漏れになった。
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