阪神・大山の1位指名と、DeNAの下位指名に見るドラフトの妙味 (5ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 今年、日本ハムに6位指名された山口裕次郎(履正社高/投手)は、「4位以下なら社会人(JR東日本)に進む」という「3位縛り」の選手だった。指名拒否を恐れない日本ハムらしい果敢な指名だったが、当の山口は困惑しているという。「プロには行けるうちに行くべき」という考え方もあれば、「何の保証もないプロへ進むより、まずは一流企業に進んで3年後のプロ入りを目指すほうがいい」という考え方もある。山口の決断が注目される。

 他球団の下位指名選手を見渡してみると、DeNAの充実ぶりが目を引く。特に5位・細川成也(明秀学園日立高/外野手)、6位・尾仲祐哉(広島経済大/投手)、7位・狩野行寿(平成国際大/内野手)、8位・進藤拓也(JR東日本/投手)は「よくその順位まで残っていたな」という印象がある。

 それぞれに一長一短はあるが、プロで個性を発揮する可能性を感じさせる顔ぶれだ。特に6位の尾仲は小柄ながら、150キロに迫る快速球と空振りを奪えるスライダーで勝負できる好投手。リリーフとして即戦力になる可能性もあるだろう。尾仲以外も中央球界では広く名前は知られていないものの、非常に楽しみな選手たちだ。

 3位以内を上位指名、4位以下を下位指名とするなら、西武の下位指名も見事だ。4位は高校生ナンバーワン外野手・鈴木将平(静岡高)、5位は即戦力サイドスローの平井克典(Honda鈴鹿)、6位は大学日本代表のストッパーを務めた田村伊知郎(立教大)。特に田村は「ドラフト上位候補」の前評判もあっただけに、6位指名は意外だった。西武は上位でも夢のある選手を指名できており、将来性・即戦力性ともに優れたドラフトになったと言えそうだ。

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