阪神・大山の1位指名と、DeNAの下位指名に見るドラフトの妙味 (2ページ目)
ただし、この指名で気がかりなことは、指名を受けた大山の精神状態だ。ただの1位指名ではない。「阪神のドラフト1位」である。これから大山は、一挙手一投足を大勢のメディア、ファンに注目され続ける日々を送るに違いない。それが人気球団のドラフト1位の宿命というものだ。
大山は高校時代に甲子園に出場した経験はなく、大学は関甲新学生リーグという、あまり日の当たらないリーグで過ごしてきた。本人は1位指名を想定すらしていなかったと語っている。そんな選手にとっては想像を絶するストレスとプレッシャーがのしかかるだろう。まして、金本監督は大山について「(バッティングは)ヤクルトの山田選手にちょっと似ているかな」とコメントしている。初めて大山を見るメディアもファンも、自然と「山田哲人」を期待するに違いない。
2位以下の指名であれば、ここまで大きなプレッシャーをかけずに済んだのに......と思わなくはない。だが、球団もメディアもファンも「この程度でつぶれるのなら、一流じゃない」とシビアな見方をするだろう。指名を受けた以上、あとは本人次第だ。
今年6月の大学日本代表選考合宿で、並み居るライバルたちを向こうに回して大山はこんなことを言っていた。
「周りは六大学(東京六大学リーグ)とか東都(大学リーグ)とかの選手ばかりでしたけど、負ける気はありません。『関甲新でもやれるんだぞ』というところを見せたいんです」
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