傷だらけのドラフト1位が、
人気球団の重圧から解放されて思うこと (5ページ目)
■ドラフト1位のプライドを捨てて社会人野球へ■
──戦力外通告を受けたとき、どうしようと考えましたか?
「6年間のプロ生活で体はボロボロです。右肩を2回脱臼したのですが、2回目はもう半分あきらめていました。肩の関節唇がめくれていて、うまく回らない状態......もし体調が万全ならば、ほかの球団でもう一度と考えたはずです。でも、ボールも投げられないのだからどうにもしようがありません」
──そこで的場さんは、社会人野球の強豪であるトヨタ自動車に進みました。
「12球団の合同トライアウトを受けたものの、連絡はありません。『さて、仕事はどうしようか』と考えているところに、社会人野球のトヨタ自動車から『野球をする気はありますか』と電話がかかってきたのです。さっそく自分で好プレー集みたいな動画を編集して送りました。すぐに面接があって、私の肩の状態を理解してもらったうえで、採用していただくことになりました。プロの球団ではありませんが、また野球ができることはうれしかったですね」
──トヨタ自動車は、古田敦也さん(元・ヤクルト)、高橋建さん(元・広島)、金子千尋投手(オリックス)などが輩出した社会人野球の強豪ですね。
「プロではありませんが、アマチュアの最高レベルのチームのひとつです。社会人だから下に見ることはまったくありませんでした。これまでの失敗を繰り返さないように、強い気持ちを持って入っていきました」
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