BCリーグで戦う17人の元プロ野球選手、それぞれの「存在意義」 (4ページ目)
自らを「超えるべき壁」として、若手に見本を示し、1年1年の気持ちで臨んでいるという秦だが、当然、「その後」も念頭に置いている。
「やっぱり野球には携わりたいとは思いますね。お世話になったNPBに何らかの形で戻りたいとは考えます。でも、こればっかりは自分の思い通りにはなりませんから。BCリーグでは野球を通じていろんなことを学んで、次のキャリアに生かせるようにしたいと思います」
富山には、もうひとり元NPB選手が兼任コーチとしてプレーしている。2009年から12年まで阪神に在籍していた野原祐也は、自由契約を申し渡された後、古巣の富山に戻った。「選手は選手、コーチはコーチ」と割り切る秦と違い、兼任コーチはきついと野原は言う。
「やっぱり思ったことは選手にいろいろ言わないと自分のためにもなりませんから。その分、『いいところを見せなきゃいけない』ってなるんです」
今は、自分を実験台として、NPBでも実績を残した吉岡雄二(巨人、近鉄などでプレー)監督の教えを受けながらバッティングを模索し続けている。その一方で、すでに三十路を超えた自分の立場も分かっている。
「去年まではNPBに戻ることしか考えていませんでしたけどね」
その言葉どおり、今シーズンは常時試合に出るというのではなく、若い選手にチャンスを与えることが増えている。それでも、BCリーグでのプレー継続は充実したものだという。
4 / 5