BCリーグで戦う17人の元プロ野球選手、それぞれの「存在意義」 (3ページ目)
彼らだけではない。今シーズンのBCリーグには、実に17人のNPB経験者がロースターに名を連ね、彼らの存在が、「プロ未満」の者が集う独立リーグのレベルを向上させていることは間違いない。
今では、140キロ台後半のストレートを弾き返すのは独立リーグの打者にとっては当たり前のことになっている。逆に、ツボにはまればスタンドインの長打力を持つ大平成一(元日本ハム)、カラバイヨ(元オリックス)の存在は、当然のごとく投手を育てている。観客の目から見ても、彼らのプレーは試合を見ごたえのあるものにしている。
彼らが戦力外を経験しながら、いまだ独立リーグでのプレーを選ぶいちばんの理由は、むろんNPBへの復帰なのだが、現実的には、それは一緒にプレーする若い選手と同じようにかなわぬ夢に終わる確率の方が高い。そのことを、トップリーグを経験した彼らは十分にわかっている。
「僕はNPBからクビを言い渡された人間です。つまりそのレベルではないんです」
富山GRNサンダーバーズで兼任コーチを務める投手の秦裕二は、NPB復帰の気持ちはゼロではないとしながらも、現在の自らの立ち位置を冷静に見極めている。ドラフト1巡目で横浜に入団しながら実働8年で9勝に終わったという現実は、NPBというトップリーグの壁の高さを感じさせるのに十分である。
だから現在はコーチ業に重きを置いているという。選手としての練習時間はどうしても削られるが、それはそれと割り切っている。
「選手には、当たり前のことを当たり前にやりなさいと言っています。そしてまず、僕を超えないと」
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