打撃3部門キャリアハイも。坂本勇人が語る「打撃開眼」の軌跡 (2ページ目)

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 キャンプでは「今しかできない」と、全体練習後にもバットを振り込み、足の上げ方、下半身の使い方などを細かに変え、修正を続けた。そしてはまったのが、今の形だ。これまでは大きく上げていた左足の上げ幅を少し減らし、軸足となる右足に今までよりも重心をかけるようにした。

「(左足を上げる)始動を遅くしました。大きな動きよりも小さな動きで。無駄な動きを少なくしようと、この打ち方になりました」

 コンパクトな流れでミートする確率を上げた。右足を軸としたスイングを意識することで、回転スピードは上がり、打球の力強さも増した。「いい形を継続できている」と、手応えを感じている。

 飛距離を増したバッティングを見せつけたのが、5月11日の甲子園での阪神戦だった。1回、二死からメッセンジャーが投じた初球の内角のカーブを引きつけて捉えると、「どうかな、と思った」と坂本は半信半疑だったが、打球はグングンと伸びていき、広い甲子園球場のバックスクリーン左にまで届いた。

「いい形で集中して、ひと振りで仕留めることができました」

 昨シーズンは納得いかない成績に終わったが、成長を感じている部分もあった。狙って四球を奪いにいき、ケースに応じたバッティングができたことだ。昨年は自己最多の65四球を奪ったが、今季もそれを継続している。

 初球から振りにいく積極的なスタイルが持ち味でありながら、6月1日までにリーグ3位となる30四球を選んでいる。点差が開いた場面でも集中力を切らさず、追い込まれてから粘り、四球をもぎ取ることも多い。指揮官も「もったいないと思う打席が少ない」と、その変化を感じている。

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