王者ソフトバンク打線に聞いた、プロ初登板・小笠原慎之介のすごさ

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Kyodo News

 最強軍団を相手に、甲子園V左腕が躍動した。5月31日の福岡ヤフオクドーム。中日のドラフト1位ルーキー・小笠原慎之介がプロ初登板初先発を果たした。

 大事な交流戦の開幕戦。しかも相手は3年連続日本一に向けて現在パ・リーグ独走中のソフトバンクだ。デビュー前日には「打たれて当たり前」などと話していたが、どうしてどうして、5回1安打1失点の快投を演じたのである。

プロ初登板となったソフトバンク戦で5回1失点と好投した小笠原慎之介プロ初登板となったソフトバンク戦で5回1失点と好投した小笠原慎之介

 いや、"怪投"というべきか。7四球と制球には苦しんだ。2対1で迎えた5回裏には先頭から3者連続四球で無死満塁とした。しかし、そこから堂々たるピッチング。前の打席でタイムリーを浴びた今宮健太にサードゴロを打たせて、5−2−3の併殺打に仕留めた。続く柳田悠岐は四球で歩かせたが、4番の内川聖一をセンターフライに打ち取った。日本一打線の中軸相手にこの大ピンチでホームを踏ませなかった。

 この時点で勝利投手の権利を持ってリリーフ陣に後を託したが、8回裏にソフトバンクが貫録の6連打で一気に逆転。小笠原は、勝てば球団29年ぶりの高卒新人デビュー白星だったが、残念ながらすべては水泡に帰した。

 だが、ソフトバンクとしてみれば、「試合に勝って勝負に負けた」といったところだろう。日本一軍団の目に黄金ルーキーはどのように映ったのか、証言をかき集めた。

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