「分類不能の強打者」山田哲人の恐ろしさを、ライバルたちが証言 (5ページ目)
昨年の開幕直後のことだった。山田は早出のティーバッティング中に、杉村繁打撃コーチから「明日のDeNAの先発は久保(康友)だってよ」と告げられると、「久保さんですか……」と顔をしかめた。その前年の対戦は6打数0安打(2三振)。だが昨年は、その久保に対して13打数6安打(2本塁打)の好成績を残した。高城に、この2年間の山田と久保の対戦について聞くと、こんな答えが返ってきた。
「久保さんはクイックが速いし、自分の感覚で打者とのタイミングをずらしたりしますからね。昨年の山田さんは、自分の足を上げるタイミングを、久保さんのときには探り探りやっている感じがしました。それがうまくはまったんじゃないでしょうか」
久保康友(DeNA/投手)
「本当にすごい選手ですよ。ヘッドスピードが外国人選手に負けないくらい速くて、僕の考える大打者の待ち方をしています。多くの選手は、苦手な攻められ方をされると、意外と狙い球を変えてきたりするんですよ。でも、彼の場合は狙い球を変えず、ずっと待てる。あれだけ変化球を投げられたら、普通は変化球を待つのに、山田は一切待ちませんから。僕の経験では、小笠原道大さんや松中信彦さんなど、時代を代表する大打者は待ち方を変えたりせず、そうやって攻められているなかで体が反応するというか、対応力を上げていっていました。これが僕の考える大打者の条件なんです。山田も今、その対応力を上げていっていると思いますね」
2年前のシーズン最多安打に始まり、昨年はトリプルスリーを達成した上で、本塁打王と盗塁王を獲得。もう山田が何をしても驚かないという心づもりでいるが、結局、今シーズンも想像をはるかに超えるバッティングで我々を驚かせるに違いない。
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