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ヤクルトに拾われた男・坂口智隆が連覇の使者となる! (5ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

「こういう感じだったかな」(坂口)
「こうでしたっけ」(鵜久森)

 ふたりは覚えたての杉村コーチ独自のティーバッティングを思い出し、試行錯誤しながら交代でトスをあげバットを振っていた。どこかぎこちない練習ではあったが、それが異様な迫力となっていたのだった。そうして、ふたりの姿を見ていると「初心を忘れるな」と教えられた気がした。

「(鵜久森と居残りでティーバッティングをしたことについて)野球選手である以上、野球がうまくなりたい。ただそれだけですから。いろいろな練習方法やアドバイスを取り込みたいと思っていますし、それが新しい発見となることもあれば『ああ、こういうこともあったな』と思い出すこともあるんです。これからは、積み重ねてきた経験も大事にしたいですが、考え方を変えなければならない部分もあります。その両方をうまくやっていければいいと思っています」(坂口)

 いよいよ開幕が近づいてきたが、ヤクルトは課題であった「1番・センター」がようやく固定されつつある。そのことを坂口に振ると、こんな答えが返ってきた。

「みなさんが言っているだけで、決めるのは監督ですから。打順に関しては、僕にはもともとこだわりがないですし、大事なのは試合に使ってもらうことです。今の僕はオープン戦だろうが、シーズンが始まろうが、常にアピールをしていくしかないんです」

 坂口はシーズンに入り、レギュラーとして活躍しても「今の自分はアピールしていくしかない」という言葉を何度も繰り返すに違いない。

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