阪神・西岡剛の自信「僕が試合に出ることが最大の補強になる」 (4ページ目)

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 翌日、第2クールMVPに西岡を選んだ監督が「サボリ大魔王」と命名すれば、西岡は「イジリ大魔王」と応戦した。さらに、予定されていなかった早出特守とランチ特打に西岡が飛び入り参加した際は、「オーナーが来るからアピールじゃない? 計算ずくだろ」と監督の“口撃”はとどまるところを知らず。その日のリレー免除を願い出て却下された西岡は、「頑張っていることをアピールしても練習量が減らないと分かったので、もっと要領よくやろうと思います」と言ってのけた。

 もちろんすべてがジョークで、相手がどう返してくるかもわかった上のコミュニケーションだが、監督と選手という関係で、なかなかできることではない。

「監督なりの愛情だと思っているので。ホントにサボってる選手なら、とっくに二軍に行かされてるでしょう。たまに打ち合わせもしてましたからね、『こう言うからこう言えよ』って」

 最後の部分が本当かどうかは分からないが、ふたりの間に信頼関係があることは間違いない。

 監督就任直後の面談では、次のような会話があったという。

金本監督「最後まで競争やぞ。特別扱いはしないから、自分の力で勝ち取れ。でも、少し期待している」
西岡「ケガすると思っといてください」
金本監督「うん、そう思ってる」

「少し期待している」というところがミソで、その言葉の本当の意味を、西岡はちゃんと理解していている。

「そう言ってもらってうれしかったですね。選手は上に立つ人によって、『この人のために身を削ってでも頑張ろう』と思えるときと、言葉は悪いけど、『この人のために自分がケガするなら、ちょっと抑えとこうかな』となるときがある。金本監督は前者で、自分の身を削ってでもこの人の力になりたいと思わせてくれる方ですね」

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