谷繁元信が盟友に明かす「引退の経緯と最後に見せた涙のわけ」 (3ページ目)
野村 兼任監督は大変だよね。あの後、ベンチ裏で佐々木(主浩)さんと子どもたちと一緒に「お前のオヤジ、よく頑張ったな」なんて言いながら試合を見ていたんだけど、長男が「すげぇな……オヤジ」とボソっと呟いていたよ。
谷繁 ……へぇ。そうですか。やっとじゃないですかね、多分(笑)。
野村 だろうね(笑)。
谷繁 やっとですよ。それまでは、彼にとっては単純に父親ですからね。長男も野球をかなり真剣にやるようになって、少しは父親の偉大さがわかったんじゃないですか(笑)。それまでは、嫌な思いもしたんだと思うんですよね。知らない人に何か言われたり、何かと比較もされたりね。これは僕の息子だけじゃなくて、プロ野球の選手の息子ってみんなそうなんですよね。
野村 そうだろうね。いいことばっかりじゃない。いろいろ悩みもあったでしょう。
谷繁 でも……なんで涙が出たんでしょうね。自分でもよくわからないんですよ。いろんなものが一瞬のうちにいろいろ頭の中をめぐって。
野村 まぁ……いろんな感情が出てくるんだよ。 ホッとした部分もあるだろうし、「まだできるんじゃないか」っていう部分だったり、あと、寂しさだったり。いろんな今までの思い出がずっと駆けめぐるから。だから、この涙だ、というものじゃないと思う。特に横浜スタジアムという場所だったしね。
谷繁 息子たちに花束をもらった時もね。オフの自主トレのことが頭をめぐったんですよね。やっぱり自主トレって、僕らにとっては結構きついんですけど、子どもたちの顔を見ると思い出したんですよね。なぜかわからないんですけど。
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