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反重力か? 武田翔太の「2回曲がる変化球」に大谷翔平も驚愕 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 球質が向上したストレートに、ドロップカーブをはじめ多彩で精度の高い変化球。しかも武田は186センチの長身であるとともに、リリース位置が高い正統的なオーバーハンドでもある。その角度は他の投手にはない、大きな武器だ。22歳にしてこれ以上ない境地に達したように思えるが、武田は意外なことを口にした。

「僕、本当は横から投げたいんですよ。(顔の近くに右手を持っていきながら)このへんで投げたい。ラクなんで、こっちのほうが」

 角度があるのが個性なのでは? そう聞くと、武田はうなずきながら、こう答えた。

「個性なんでしょうけど、あんまり上がりすぎるとケガするから……。長続きしないんですよ」

 そして武田は、「僕、今はケガをしないことだけを考えていますから」と不敵に笑った。もちろん、ふざけているわけではない。肩を痛めて長い期間投げられなかった投手だからこそ言える、プロ意識なのだと感じられた。

「今はまだいいですけど、年を取ったら腕を下げるかもしれません。まあ、どこでも投げられるんで。変わることは、恐れないですね」

 再び登場してきた「変化を恐れない」という言葉。それは、一度つかんだコツがあるから、失敗しても戻ってこられるという意味なのかと思っていたが、武田は強く否定した。

「いや、戻しちゃダメですよ。絶対によくない。変えるからには、新しいものをつかまないと。戻すといっても元には戻りませんし、必ずズレが出てきますから。だから僕は恐怖を考えずに、気持ちよく、楽しくやるだけです」

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