2015.08.18

「個」から「チームへ」。阪神・能見篤史が生まれ変わった瞬間

  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoishihiro

エースの響き~ブルペン捕手・中谷仁が見た「超一流の流儀」
能見篤史(前編)

現在、藤浪晋太郎に次ぐチーム2位の9勝をマークしている能見篤史

 中谷仁です。私は1997年のドラフトで阪神から1位で指名を受け入団し、その後、楽天、巨人でもプレイしました。2012年まで現役を続け、一昨年は巨人のブルペン捕手としてチームのリーグ優勝を見届けました。また、2013年のWBCでは日本代表のブルペン捕手としてチームに帯同させていただくなど、この16年の間、実に多くの投手の球を受けてきました。そこで、実際に受けた経験をもとに、超一流と呼ばれるエースたちの素顔に迫りたいと思います。今回はセ・リーグ首位を快走する阪神の左腕エース・能見篤史を紹介したいと思います。

 能見は社会人の大阪ガスから2005年に自由獲得枠で阪神に入ってきました。私を含め、藤田太陽、井川慶と同級生が多く、ひとつ年下には藤川球児、久保田智之、杉山直久、江草貴仁らがおり、彼らと切磋琢磨していました。

 最初に能見を見た時のイメージは、とにかく「細い!」ということでした。オリックスや阪神で活躍された星野伸之さんのような体型で、おまけにすごくもの静か。正直、野球選手っぽくなかったですね。

 鳥取城北高時代は、平安高の川口知哉(元オリックス)、水戸商の井川慶(オリックス)とともに”左腕三羽ガラス”と呼ばれていたようなのですが、私は名前も知らなかったですし、井川も「知らない」と言っていました。

 そんな能見ですが、入団当時は同い年の藤田と「左右の柱になる」と期待されていました。でも、ふたりともケガが多く、能見はヒジを痛めていて、あまり投げていませんでした。だから、私の中では特別すごい投手というイメージはありませんでした。