2015.08.19

阪神・能見篤史はサイドスロー転向を本気で考えていた

  • photo by Getty Images

エースの響き~ブルペン捕手・中谷仁が見た「超一流の流儀」
能見篤史(後編)

第3回WBCの日本代表に選ばれた能見篤史

 中谷仁です。私は今、子どもたちに野球を教えながら、自分自身も勉強の日々を送っています。私は選手、ブルペン捕手として16年間プロの世界に身を置いてきました。阪神、楽天、巨人、さらには2013年のWBCで数多くの超一流と呼ばれるエースたちの球を受け、彼らの凄さを知ることができました。これまで私が彼らと過ごした貴重な時間を振り返り、彼らの人間性、能力の高さに迫りたいと思います。前回に続き、阪神の左腕エース・能見篤史についてお話しさせていただきます。
(前回の記事はこちら)

 今年の5月で36歳になった能見篤史ですが、彼が今後、どんな投手になろうとしているのか非常に興味があります。なぜかというと、彼はずっと40歳を見据えながら投球をしていたからです。

 2013年のWBCでブルペン捕手としてチームに帯同させていただいた時に能見の球を受けたのですが、彼は同じ球種でもスピードに変化をつけながら投げていました。そして最も驚かされたことは、突然、サイドスローで投げてきたことです。「えっ、なんで?」と目を丸くした私に、「いずれはサイドスローやアンダースローに変えていかないと、自分のような投手はやっていけない」と言っていました。「フォームの崩れなどは気にしないの?」と聞くと、「どんなフォームでも投げられないといけない」と返ってきました。

 また、こんなこともありました。元々、能見はいいスライダーを投げられるのに、全然自信を持てずにいました。WBCの合宿中に、巨人の阿部慎之助さんが「スライダーいいよ。使えよ!」と能見に言ったんです。それから自信を深め、投球の幅も広がったようなのですが、ある時、私に「このスライダーならサイドスローになってからでも投げられるな」と平然と言ってきたんです。この言葉を聞いて、能見は本当にサイドから投げるかもしれないと思いました。