「投げたくない」。巨人・山口鉄也がブルペンで漏らした本音

  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

エースの響き~ブルペン捕手・中谷仁が見た「超一流の流儀」
巨人・山口鉄也

 中谷仁です。私は1997年のドラフトで阪神から1位で指名を受け入団し、その後、楽天、巨人でもプレイしました。2012年まで現役を続け、一昨年は巨人のブルペン捕手として チームのリーグ優勝を見届けました。この16年の間、実に多くの投手の球を受けてきました。そこで、実際に受けた経験をもとに、超一流と呼ばれるエースたちの素顔に迫りたいと思います。今回は7年連続60試合登板を果たし、育成選手出身として初めてFA権を取得した巨人の中継ぎエース、「ぐっさん」こと山口鉄也を紹介したいと思います。

昨年、プロ野球初の200ホールドを達成した巨人・山口鉄也昨年、プロ野球初の200ホールドを達成した巨人・山口鉄也

 ぐっさんとは不思議な縁があって、初めて会ったのは私が楽天でプレイしていた2005年のオフのことでした。実は、ぐっさんが楽天の入団テストを受けに来て、その時、ボールを受けたのが私だったんです。正直、あの時はここまですごい投手になるとは思っていませんでした。

 球団編成の方が「どうや?」と聞いてきたので、私は「チェンジアップはいいですね。コントロールもいいですけど、真っすぐは速くないです。これといって特徴のあるタイプではないですね」と答えた記憶があります。ぐっさんは楽天の前にもベイスターズのテストを受けていたようで、チーム関係者は「ベイスターズが獲らなかったのにウチが獲るというのもなぁ」という話をしていました。

 結局、楽天は獲得せず、最後に受けた巨人が「あのチェンジアップは使える」ということで育成選手として契約しました。その後、支配下登録選手となり、気がつけば巨人になくてはならない存在の選手になっていました。

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