「投げたくない」。巨人・山口鉄也がブルペンで漏らした本音 (3ページ目)
また、ぐっさんのフォームは、サイドスローに近い位置から腕が出てきます。特に左打者は自分の背中からボールが出てくる感じで、球種やコースを見極めるのは困難です。調子のいい時は、まったく同じところからスライダーとシュートを投げ分けてきます。そりゃ打てないですよ。
ただ、ぐっさんの面白いところは、これだけすごい球を投げて、プロ野球史上初となる200ホールドを達成するなど、名実ともに超一流プレイヤーにもかかわらず、究極の"マイナス思考"ということです。
たとえば、1点リードの8回。ベンチもファンも誰もが「山口しかいない」と思うような状況で、ぐっさんは「えっ、僕ですか? ここは(高木)京介でしょう。こんな場面でオレ?」って真顔で言う。ブルペンコーチから「お前しかいないだろう」ってうながされて、「あー無理!」って最後にボールを1球投げ込んで、マウンドに向かいます。その表情はあきらめに近いものがあります。
これまで多くの投手を見てきましたが、ほとんどが「打てるものなら打ってみろ!」「絶対に抑え込んでやる」というタイプです。本当にぐっさんのようなタイプは稀(まれ)です。準備をしている最中に、点差が開いたりして登板がなくなった時は、「よかった」って清々しい表情をしています。普通の投手だったら、「せっかく準備したのに」や「なんで投げさせてくれないんだ」と思ったりするものですが......。
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