難病からの完全復活。ソフトバンク大隣憲司物語 (5ページ目)
好投手の条件のひとつに、インコースをどれだけ突けるか、というのがある。今の大隣はそのインコースに何球も続けて投げ込む度胸と技術がある。涼しい顔をして次々に胸元を突かれると、打者はたまったものではない。
「僕は入団してからずっと期待を裏切り続け、2012年にようやく12勝(防御率2.08)してチームに貢献することができました。翌年にはWBCの日本代表にも選ばれて、さらにチームの柱として活躍しなきゃいけない時に……そんな矢先のあの病気でした。今年は具体的な数字より、まずは1年間先発ローテーションを守り抜くことが目標です」
遠回りをした。だが、どんな状況に置かれても前を向き、持ち前の明るさだけは絶対に失わなかった。そんな左腕にいま、野球の神様がほほ笑みかけている。
5 / 5