2015.05.09

難病からの完全復活。ソフトバンク大隣憲司物語

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

「ストレートは以前の方が速く感じました。ドーンと向かってくるような感覚で、迫力がありました。だけど今は、脱力した投球フォームからピュッと伸びてくる。決して速いとは思わない。でも、それがイヤなんです。球速がないので『スライダーかな』と思って待つと、真っすぐでびっくりなんてこともありました。腕の振りもストレートと変化球が同じなので、区別するのが難しいんです」

 これはロッテの今江敏晃に聞いたソフトバンクの大隣憲司評である。5月4日の試合でふたりは対峙した。

ここまでチームトップの4勝をマークしているソフトバンク大隣憲司

「僕は(大隣を)打っているイメージがある(過去2年の成績は4打数4安打)」と話した今江だったが、この日はショートゴロ、ショートゴロ、センターフライと完璧に抑え込まれた。

 第1打席は134キロの真っすぐをファウルにしたあとのチェンジアップに泳がされた。第2打席はチェンジアップからの131キロの真っすぐに詰まり、第3打席は1打席と同じようにチェンジアップを打たされた。

「インコースのいいところを突いてくる。だから外角へのストレートやチェンジアップも生きる」

 この試合で大隣はロッテ打線を7回2失点に抑え、今季4勝目を挙げた。防御率1.44はパ・リーグ3位(5月8日現在)。さらに先発した6試合すべてクオリティ・スタート()の安定感を見せている。
※クオリティ・スタートとは先発投手が6回以上を自責点3以内に抑えること