斎藤佑樹、失意の降板。唯一の救いは「特別な投手」という評価
斎藤佑樹は、決して打たれ強いわけではない。
むしろ、ひとつの白星で波に乗っていくタイプだ。ならばこの場面も、斎藤のためというのではなく、ここで斎藤を乗せることがチームのためだと考えて、ワンテンポ、交代を遅らせる手はなかったのだろうか。
今季初登板となったロッテ戦、4回1/3で降板となった斎藤佑樹
8対3と5点をリードした5回表、ワンアウト一、三塁。
栗山英樹監督は、痺(しび)れを切らしたようにダグアウトを出て、ピッチャー交代を告げた。まさかの交代を告げられた斎藤は、重たい足取りでマウンドを降りた。ダグアウトに入る直前、後ろを振り返ってスコアボードを見つめる。点差を確認していたのだろうか......あまりの悔しさに、斎藤は思わず握りしめた拳を振り下ろした。
試合の途中、ファイターズの広報から斎藤のコメントが届く。
「3回まではテンポよく投げることができたんですけど、見ての通り4回で崩してしまった。大量得点でリードしてくれたにも関わらず、ゲームを壊してしまいました。申し訳ない気持ちと悔しさが残ります」
試合後、こみあげてくる怒りと苛立ちを押し殺すように、指揮官はこう言った。
「(開幕直後の)この時期、落ち着くまではどのチームにもいろんなことが起こる。あの点差で勝ち切らないとチームがグシャグシャになっちゃうからね。手を打ち切るしかないということ」
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