甲子園春夏優勝投手、ソフトバンク島袋洋奨の現在地

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sportiva

3月特集 アスリートの春 ~卒業、そして新天地へ~(12)

 甲子園では春のセンバツが行なわれていた。

 ちょうどその頃、かつてのセンバツで優勝投手となったサウスポーが、福岡でプロ初の実戦に臨み、散々な結果に終わっていた。

 ホークスのルーキー、島袋洋奨は3月24日、 雁の巣で行なわれた三軍交流戦となる福岡工大との試合の7回、3番手としてマウンドに上がった。しかし8球続けてストライクが入らず、フォアボールを連発。その後もワイルドピッチでランナーを進めた挙げ句、タイムリーを浴びてしまうなど、大乱調のピッチングを披露してしまう。その後もヒット、フォアボールにエラーが絡んで、6点を失い、1イニングを投げ切ることなく、マウンドを下ろされた。その3日後、今度は西部ガスとの試合でも3番手としてマウンドに上がったものの、1イニングで2つのフォアボールと2本のヒットを許して、3点を奪われた。かつて甲子園で春夏連覇を成し遂げた左腕は今、思うに任せない春を過ごしている。

昨年秋のドラフトでソフトバンクから5位指名を受け入団した島袋洋奨昨年秋のドラフトでソフトバンクから5位指名を受け入団した島袋洋奨

 島袋が2月のキャンプの頃、こんな話をしていたことがある。

「コントロールが荒れても、とにかく腕を振る......それが今の自分のテーマです。打たれてもフォアボールを出しても、腕を振り切ることができたら今日の目標は達成できたと思うようにしているんです。大学3年の後半から4年にかけて、自分の中でビビっていたのか、思い切り腕を振れなかった。だから、まずは腕を完全に振れる状態でいられるよう、自分で決めたテーマを貫くことを意識しています。もう、大学時代とは同じことを繰り返したくないんです」

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