2014.12.09

カープ一筋28年。赤ヘル復活を託された緒方孝市という男

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Nikkan sports

 11月に宮崎県日南市で行なわれたカープ秋季キャンプは、質量ともに赤ヘル伝統の猛練習が復活した。朝から日が暮れるまで白球を追う選手たちに誰よりも熱い眼差しを向けていたのが、カープ第19代監督・緒方孝市だった。

 早出練習する選手たちは8時前には球場に姿を見せ、午前中は守備中心の練習、短い昼食を挟んで午後は打撃中心のメニューが組み込まれ、最後の選手が球場をあとにする頃には時計の針は18時を回っていた。さらに夕食後は夜間練習と、まさに野球漬けの日々。「今回は特にきつい練習をしていると思う。選手たちはよく頑張っているよ」と石井琢朗コーチが語るように、選手たちは濃密な日々を送った。

秋季キャンプではコーチとも積極的に意見を交換していた緒方孝市監督

 新監督は、初指導となった秋季キャンプで厳しさを持って選手に接した。第1クールでは松山竜平に初カミナリを落とし、第2クール終了時には一軍での実績もある岩本貴裕をはじめ、庄司隼人、中村亘佑の3選手を広島に帰した。
松山竜平...九州国際大から07年大学・社会人ドラフト4巡目で指名され入団。左の強打者として期待され、13年には10本塁打を記録した。
岩本貴裕...亜細亜大から08年ドラフト1位で指名され入団。10年には14本塁打を放つも、膝のケガなどでレギュラー獲得には至らず。
庄司隼人...常葉菊川高から09年ドラフト4位で指名され入団。今シーズン初めて一軍昇格を果たした。
中村亘佑...横浜商大高から09年育成ドラフト2位で指名され入団。強打の捕手として期待されるも、支配下登録の経験はなし。

 ただ厳しいだけではない。キャンプ序盤はチーム全体の把握に努めたが、「やっぱり直接接しないと選手の性格はわからない」と、次第に選手たちに声をかけ始めた。来季の正捕手候補である會澤翼には自らトスの上げ役を買って出て、身振り手振りを交え指導。打撃に悩む堂林翔太には打撃指導だけでなく、練習の取り組み方から考え方まで、70分を超える熱弁をふるった。また、由布院へのリハビリキャンプのため途中離脱する大瀬良大地や一岡竜司などの若手投手陣には、声をかけながら約1時間、ノックバットを握った。
會澤翼...水戸短大付高から06年高校生ドラフト3巡目で指名され入団。強打の捕手として注目され、今季は65試合に出場し10本塁打を記録した。
堂林翔太...中京大中京高から09年ドラフト2位で指名され入団。12年にはサードのレギュラーを獲得し、14本塁打を放った。
大瀬良大地...九州共立大から13年ドラフト1位で指名され入団。1年目の今季は10勝8敗の成績を残し、新人王を獲得した。
一岡竜司...沖データコンピューター教育学院から11年ドラフト3位で巨人に指名され入団。昨年オフ、大竹寛の人的補償として広島に移籍。

 そして、秋季キャンプで初カミナリを落とした松山には、第3クールでの特打中に成長を認める言葉をかけた。「(監督に)見てもらえることは嬉しいですし、やるしかない」と話す松山の表情はやる気に満ち溢れていた。