松井裕樹が今シーズンを総括。 「もう、プロで不安はない」 (2ページ目)
松井が「自滅も含め」と言ったように、4月2日のプロ初登板から4試合連続でノックアウト。その投球内容は19イニング1/3、23奪三振、24四球。勝ち星のないまま、4月23日の試合後に二軍調整を告げられるホロ苦いスタートに。その対戦の中で、ソフトバンクの内川聖一が強く印象に残ったと言う。松井は内川に今シーズン13打数6安打、4割6分2厘と打ち込まれた。
「特に4月のときなんですけど、自信を持って投げたボールでも簡単にはじき返されるんですよ。"詰まらせたな"と思ってもセカンドの後ろに落とされてしまったり。自分のボールは通用しないのかな、というくらい簡単に打たれてしまいました。高校時代はそういうことはなかったですからね」
ファームで結果を残した松井は、6月6日に再び一軍に昇格。ブルペンからの再出発だったが、7月2日のオリックス戦で、救援登板し2イニング1/3を2安打5奪三振、無四球でプロ入り初勝利。このピンチを断った躍動感あふれる投球は、ファンにも印象が強かったようで、投票で選ばれる「ジョージア魂賞」を受賞した。
「勝ちがついてなかったのは気になっていたんで......。形はどうであれ、勝ちが1個ついたことにホッとしたという気持ちはありました。でも、自分としては先発で勝ちたかったという気持ちもありました」
――7月は、2連投のあと一日おいて、3連投などもありました。
「7月前半は試合に多く投げさせてもらって、ピンチの場面からの登板であったり、自分でピンチを作った場面もあったのですが、そういう経験を重ねることができたのは大きかったと思います。だから、7月の後半に先発に戻してもらったのですが、試合の流れで相手チームが盛り上がっている場面でも自分がバタバタすることなく、集中することができるようになりました」
――驚かされたのは、高卒でも大卒でも社会人でも鬼門と言われる、夏場以降に調子を上げてきたことでした。9月23日のソフトバンク戦で自身最長となる8回を投げ、この試合では内川選手を4打数1安打に抑えました。そして、10月5日の日本ハム戦でも負けはしましたが、8回を1失点。
「(少し嬉しそうに)体力的に、5月6月はそんなに投げてないんで、それもあったと思うんですけど。先発でやっていく中で、トレーナーさんやコーチの方々が支えて下さって、1週間ごとに課題を改善することができました。そして、後半になるにつれて自分の思い通りのピッチングが少しずつですが、できるようになってきたのかなと」
――松井選手のイメージする思い通りのピッチングとは?
「3球で自分に有利なカウントを作ることです。できれば2球で1-1を作って、3球ないし4球で打者を打ち取っていく。球数を少なく長いイニングを投げる。これは開幕前からイメージしていることで、狙いにいく三振はそんなに必要ないと思っています」
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